[HOME] ぼちぼちと... [編集]
2009年 << BACK  7月   NEXT >>

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

16

17

18

19

20

21

22

23

24

25

26

27

28

29

30

31
日記
日記
日記
                                                       


  2009年 7月 3日(金)   見えない汚染
医薬品を人間が摂取し、その後に排出した際に、河川へ医薬品の成分が混入するという「見えない汚染」という問題があるのだそうです。いままで、なかなか検出できなったのでわからなかった問題のようです。

淀川水系の“見えない汚染” 対策後手
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/environment/268921/

なぜ人に感染して体内で殺されてしまうウイルスが「タミフル耐性」を獲得できるのかと疑問に思っていたのですが、人間から排出されるタミフルが、川に戻り、それを鳥が摂取し、そこで耐性を獲得してまた人間に感染する、ということがあるようです。相手に手の内をばらしていたのは、タミフルを摂取していた人間そのものだったということです。

当社は水質分析などのことに知恵がありませんので、水質のことはこれ以上わからないのですが、こういった「気付かないままに不利になっていることがら」というのはほかにもあるように思います。多くの場面では、それらは「だれかがちゃんとじょうずにやってくれている」ということなのですが、そこから漏れている「見えない危険」もありそうです。

たとえば、谷埋め盛土の地震時滑動崩落も、盛土というなんのへんてつもない土構造物が地震時に浮きあがって船のように動くだなんて、誰も想像していなかったわけです。また、擁壁の設計では多くの場合水圧がないもの(水抜き孔で排水・除圧されている前提)としていますが、竣工後時間が経過すると水抜きが効かなくなり、水圧が作用して変形する場合があることも「見えない危険」のひとつでしょう。さらに道路法面では、きれいに小段排水、縦排水を整備してつくられますが、緑化工からの枝葉が水路に詰まる場合が多いようです。そうなると、法面全体から水を集めてきて一か所に集中的に吐き出す、ということになりますからかえってリスクが高まることがあります。

そういった「見えない危険」を見えるようにして、それに対して適切な対策が行えるようになるということが、シビルエンジニアリングの役割なのでしょう。
[index]

  2009年 7月 2日(木)   Vista
そろそろWindows7が出てきそうなことし、当社はようやく仕事用のパソコンがVistaになりました。しかしVistaは、これまで以上にインターフェースの変更が多く、とても扱いづらいものになっています(慣れていないだけですが)。XPマシンとのネットワークは容易に認識しないし、ファイル検索もなかなか・・・。office2007については、今頃・・・といわれるかもしれませんが、なんとまあ使いにくいことか。おいおい慣れていくしかないでしょうね。
[index]

  2009年 7月 1日(水)   地すべり地を鳥瞰
早朝から山形に飛び、夕方には山形から飛びかえってきました。山形空港から15:05のJAL(J-air)のキャビンアテンダントは50人乗りなので1名しかいませんでしたが、極めて親切な方で、外の景色を見ていたら、いまどこを飛んでいるかというところまでガイドしてくださいました。梅雨空でしたが、たまたま景色が良く見えました。

山形から新潟上空を経て、名古屋上空を過ぎ、奈良県に入るとなにやら丸い変な地形が目につきました。室生地すべりです。直径1kmのまんまるな地形をし、上から1/3位のところに流れ山があり、その背後に陥没地ができています。この丸い地形は、中新世のカルデラ跡で、地すべり土塊の下には湖成の有機質粘土が堆積し、たしかその下に花崗岩の基盤があります。中新世という古い地質なのに地形は非常に新しいのですが、これはカルデラ湖に流入した火砕流の上部が高溶結し、鍋に蓋をしているような状態だったため埋没した地形として長らく存在していたからだと考えられます。カルデラ湖内に流入した火砕流は、約1億立米で、いまその2/3は浸食によって流失し、3600万立米くらいが地すべり土塊として残存しています(これは私の推定ですので公式には異なるかもしれません)。


それを過ぎると王寺町上空にさしかかり、亀の瀬地すべりの清水谷頭部付近を飛んできます。亀の瀬地すべりは、一応風化岩の地すべりに分類されるのではないかと思いますが、上空から見るとスライムが流れ出て大和川を屈曲させているような感じに見えます。地すべり土塊がとても軟質な感じに見えるのです。周りの地形とは明らかにというよりめちゃくちゃ違います。空中写真や地形図で地すべりが判読できるということを理解していただくには、飛行機から地すべり地形を見るのが一番手っ取り早いのではないかと思います。


亀の瀬地すべり土塊を構成するドロコロ溶岩と、室生地すべり土塊を構成する室生火山岩(溶結凝灰岩、一部水付き非溶結)は、ともに新第第三紀中新世の地層で、日本海が大陸から分離した1500万年前後前のものです。どちらも陸上の火山噴出物ですので、その時点で地表に存在していたわけです。

なぜ、いずれもせいぜい数万年前から浸食が始まったような新鮮な地形をしているのでしょうか?なぜ、そんなに滑りやすいものが、それまでずっと滑らずにいたのでしょうか。地すべり対策をするレベルの地すべり地は、年間2cm程度の運動速度のものが多いのですが、完新世の終わりの1万年以降に急激な温暖化が始まりますので、そこから動いたすると200mの移動量です(室生の流山はほぼ200mの移動量です)。1500万年前からだと、300kmの移動量になります。西は広島、東は箱根あたりまで移動しなければなりません。そんなに移動すれば、途中で土塊はすべて浸食されて消え去ってしまうでしょう。すなわち長い間動いていなかったのが、突然最近になって、何かの理由によって地すべりとなって動き始めたわけです。その理由の理解こそが大切です。

このように、地すべりの地史を考えるということは、なぜ滑るのか?ではなく、なぜ滑らなかったのか?を考える方がその真相にたどり着く王道です。地すべり土質工学は「なぜ滑るのか?」ばかりに気がいっているため、対症療法に陥りやすいのです。まずは、地質のタイムスケールで考えると「吹けば飛ぶような地すべり土塊が、なぜ、いま、ここに存在しているのか?存在しなければならない必然があったのか?」ということを突き詰めるのが先決です。

地すべり対策には、杭工やアンカー工のような抑止工と、地形改変工や地下水供給源遮断工のような抑制工がありますが、抑止工は地史を知らなくても計画できます。しかし、地すべりにとってはバランス上の改善は何もなされていないので、朽ちればまた前と同じように動き出します。長い目で見れば応急対策工になります。抑制工のうち水抜孔は保孔管材料の寿命がありますので、同様に応急対策工的なのかもしれません。しかし、地形を改変してバランスをとったり、地すべり土塊への地下水供給源遮断(室生地すべりのように、近くの河川の河床から大量の地下水が供給されていることがあります)は、地すべり地史からすれば非常に根本的な治療になっており、恒久対策といってもよいものです。長い目で見た恒久対策は地史を理解せねばできません。
[index]
CGI-design