都市地盤の災害(阪神地域)


 
1998/8/11〜14西宮市・芦屋市・神戸市域調査
現地写真
説明
太田ジオリサーチ事務所敷地で、簡易貫入試験のウオーミングアップ。今回の調査は、日大の学生さんの研究目的が主たるものであるため、本番に備えて練習しているところ。

太田ジオ地盤は、神戸層群の盛土(H=7m)であるため、テストケースとしてちょうどいい具合だった。結果は、換算N値で5回前後で、以前に調査ボーリングしたときのデータとほぼ一致している。(よしよし、これでいざ本番へ!)

写真一番奥(左から2番目)が、釜井先生。一番左が、今回の調査のリーダー小林さん(院生)。

太田ジオ敷地での調査を上から撮影。

一番手前が、日本工営守随さん。応用地質学会斜面地質研究委員会都市の地盤災害グループのメンバーです。

(西宮市裏六甲)

西宮市の「谷埋め部」での被災状況。写真右手のマンションが抵抗体になって、変状はこの地点まで。

簡易貫入試験の結果、盛土の下に軟弱な旧表土(沖積層)が存在し、その上面を地下水が流れていることがわかった。

ここでのポイントは、
1)盛土が良質材(マサ土)であっても、その下位に軟弱な沖積層があるばあいには、地震時に地盤災害を発生しやすい。
2)小規模な構造物であっても、杭基礎がしてあるような堅固な建物があると、それが抵抗体になって、変動はおさまる。したがって、斜面下方にマンションなどの堅固な構造物があるところは、地盤条件としては比較的良い、といえる。

(西宮市街)

写真手前が、地山。写真奥の宅地は「谷埋め盛土」。道路と宅地の境界が切盛り境になっている。斜面は左側に下がっている。

宅地の塀は、もともとは玄関口だったが、今は正面に電柱がきている。地震前は、白丸の位置に電柱があった。これは電柱が動いたのではなくて、玄関を含めた宅地地盤全体が斜面下方に移動したためにおきた現象である。

(西宮市街)

高級マンションが立ち並ぶ芦屋市山手付近。
マンションが抵抗体となっているため、大きな被害は発生していなかった。写真手前の緑地は、被害があった宅地。この地盤の下方には堅固な構造物が無く、かつ盛土の下には軟弱な沖積層が存在していた。

盛土の下の沖積層の分布と、抵抗体の有無が、被害の有無に直結している例。

(芦屋市)

この斜面の上の方に建造された女子大の残土が埋め立てられている。昭和40年前後の宅造法などが整備される前の盛土。盛土される前は沼地だった(近所のおばさん談)。

写真位置は、「谷埋め盛土」が地すべりを発生したときの末端部。駐車スペースが異様に狭くなっているのは、その途中から相対的に地盤が隆起しているため。

(西宮市)

 

今回、少しだけ調査に同行していろいろ勉強させていただいた。その結果、現在の都市計画に改善の余地があること、都市防災対策に「谷埋め盛土」の危険性が盛り込まれていない不備があること、および地域ごとに危険度を評価している「地震保険のリスク評価」や土木構造物設計上の「設計震度」にまだまだ不十分な点があることがわかった。(1998/8/13)